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リバース・スピーチとは?
 リバース・スピーチ(RS)概要
 ロック音楽は若者を呪う?
 非難されたレッドツェッペリン
 『天国への階段』の実態
 バックマスキングとの相違
 偶然は重ならない
 RSは本音の表出である!
 RSが社会に及ぼす副作用
 ヒトはRSから言語を習得!?
 RSヒーリング&自己啓発
 RSが文化形成に関与!?


リバース・スピーチの実例
 東日本大震災
 2012年衆議院総選挙

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ロック音楽は若者を呪う?
1980年代前半、実際にアメリカで何が起こったのか?
 1950年代にアメリカで誕生したロック音楽は、既成概念や体制に対する反抗心や 怒りを表現するカウンターカルチャーとしての性格を強く持っていた。 エルビス・プレスリーが派手な衣装で下品に腰をくねらせ、 世間から批判を浴びたように、ビートルズもまた、 若者に熱狂的な支持を受けた一方で、風紀の乱れや教育的悪影響を 懸念する保守的な人々から多くの非難を浴びてきた。
 バックマスキング技術はビートルズが広め、その後、他のロック音楽家たちも 多く取り入れるようになり、保守派によるロック音楽批判に拍車が掛かった。 そして、1980年代になると、特にアメリカにおいて、事態は深刻なものになっていた。
 キリスト教原理主義グループが、バックマスクされたメッセージは顕在意識を 飛び越えて潜在意識に達し、そこで知らず知らずのうちにリスナーに受け入れられると 主張しはじめたのだ。
 1981年、キリスト教ラジオ番組において、DJのマイケル・ミルズは、 レッド・ツェッペリンの名曲『天国への階段(Stairway to Heaven)』には 潜在意識で聞こえる秘密のメッセージが含まれていると主張した。 1982年初旬、トリニティー放送網(TBN)のポール・クラウチは、 ロック・スターたちは秘密のサブリミナル・メッセージをレコードに吹き込むために 悪魔教会と協力していたと主張した、自称神経科学者ウィリアム・ヤロールとの 番組のホスト役を務めた。また、同年キリスト教原理主義の牧師 ゲーリー・グリーンウォルドは、バックマスキングの危険性に関する 公開講演とともに、一度ならずレコードの大量破壊を行った。 さらにその年には、ノースカロライナ州ハンターズビルにおいて、 30人のティーンエイジャーたちが、悪魔が意図的にバックマスクされた メッセージをロック音楽の中に加え、アメリカの若者を呪い殺そうとしていると 主張して、レコード店を焼き討ちする事件も発生した。

 この問題は議会においても取り上げられた。
 1982年、米下院はバックマスキングが施されていると疑われるレコードには、 次のような警告を記載すべきであるという法案を可決したのだ。

警告:このレコードには、バックワード・マスキング*――逆再生時に聞き取れ、 通常再生時には潜在意識(サブリミナル)レベルで知覚されうる口述――が含まれます。
*正しくは「バックマスキング」であり、「バックワード・マスキング」は異なる意味の専門用語である。

 だが、この法案は上院では可決には至らず、法律にはならなかった。
 1982年4月、カリフォルニア州議会の消費者保護及び有害物質委員会は、 ポピュラー音楽におけるバックマスキングに関して公聴会を開き、 実際に議員たちの前で『天国への階段』のテープを逆再生してみせた。 すると、何人かの議員たちは「俺は悪魔に仕える」という言葉が聞こえると言い、 反転メッセージはヒトの脳で解読されうるとウィリアム・ヤロールは主張した。 そして、レッド・ツェッペリンのメンバーたちは、罪のない数百万人の ティーンエイジャーたちを、無意識のうちに反キリストの弟子に仕立てあげる 悪魔の代理人として非難されることとなった。


⇒ 非難されたれレッド・ツェッペリン (次項)