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ガンやエイズのワクチンは完成していた!? - 驚異の誘導消失療法(IRT)
『百姓一揆』2007年4月創刊号掲載
潰された朗報
ガン、エイズ、心臓病をはじめとする数々の難病を99%以上の確率で癒してしまうワクチンが既にこの世に存在していた。
そう聞いたら、皆さんはどう思われるだろうか? そんな馬鹿なことがあるのかと信じられないに違いない。もしそんなワクチンが存在したら、病に臥せる人々の数が激減し、なんとも喜ばしい事である。ところが、それは、医師、病院、薬の必要性が圧倒的に少なくなることをも意味する。つまり、医薬品業界にとっては大打撃であり、多くの人々が職を失うばかりでなく、世界的な大混乱が予測される。オーストラリアの医学博士サム・チャチョーワ氏は、そのような大発見をしてしまったが故に、大きな災難に見舞われることとなった。
1995年夏、チャチョーワ博士は、過去15年間の研究が報われ、人生において最も輝かしい体験をする予定であった。その10年以上も前に、彼が開発した療法とワクチンは完成していたが、まずは自分の研究成果を医療関係者に伝えるために世界中を回り、事前に医療機関で臨床実験が行われる必要があった。アメリカのコロラド大学、UCLA、そしてシーダース・サイナイ・メディカル・センター(CSMC)では、他のいかなる治療方法でも効果を上げることの出来なかった患者に対して、彼の開発したワクチンを投与する臨床実験が試みられた。結果は、99%以上の患者にすぐに効果が現れる、驚くべきものであった。その実験に関わった医師達は皆興奮して、チャチョーワ博士の開発したワクチンの奇跡的効果に感激を露にした。自分が開発したワクチンの効果が超一流の医療機関で確認されて、自信を持ってオーストラリアに帰国したチャチョーワ博士は、全世界に向けて、まさにその成果を発表する段階であった。
ところが、突然のようにテレビや新聞のインタビューはキャンセルされ、これまで好意的に彼の研究を支持してきた医学者達が態度を急変させた。彼は自分の研究成果を追検証する医療機関に10万ドルの資金提供を申し出ていたにもかかわらず、どこの医療機関も無視した。オーストラリア医学協会の者達は、明らかな嘘を付く詐欺師であるとして、チャチョーワ博士を非難し始めた。また、彼の研究に協力していた医学者達ですら態度を一変させて、共同研究の継続を拒否してきたのだ。
チャチョーワ博士の研究は、現在の医学界においては常識を逸脱したアプローチであり、その驚異的な効果は医薬品業界を揺るがすものだったのだ。

ガンに冒された父親を救いたい!
1975年、サム・チャチョーワ少年が思春期に入った頃、父親にいくつもの骨髄腫(脊髄癌)が見つかった。その時、兄と姉が医学部に進学しており、サムも将来は医学部に通うつもりでいた。そのため、父親はすぐに息子に癌のことは告げずにいた。また当時は、特別な症状が発生しない限り、何の治療も行わない状況であったため、父親はいつもながらの生活を続けることにした。しかし、次第に症状が現れ容態が悪化すると、仕事の鬼であった父親も、家族と友に過ごす時間を大切にするようになっていった。サムは、何とか癌を治す方法を見つけ出し、父親の健康を取り戻したいと切に願っていた。そして、物理・化学に秀でていたサムは、ついに医学、特に癌について独学を始めた。
高校生にして癌研究者達と連絡を取り、様々なアイディアを提案しては議論を行った。そうして癌について次々と学んで行き、副作用が強く、さほど効果が得られていないにもかかわらず、化学療法や放射線療法が広く普及している現状も学んでいった。
そして1977年、サムは18歳にして、のちに自らが命名したIRT (Induced Remission Therapy = 誘導消失療法) の基となる癌の治療法を発見し、前代見聞の若さでオーストラリアの癌研究機関で研究・発表を行うに至った。

18歳の少年の閃き
どんなに悪性でも、ある器官・組織は癌の攻撃に抵抗力を示す。それは小腸である。小腸だけは、癌の拡大に抵抗力を示すばかりか、癌を進展させることがほとんどない。小腸はパイアー斑と呼ばれるリンパ組織の小節で自らの免疫保護力の恩恵を受けている。おそらくそれが癌の進行と腫瘍の拡大を妨げるものと考えられる。
サムは考えた。胸腺は脊椎動物の免疫機能に重要な物質を分泌する内分泌腺であり、ヒトの場合は首の付け根に近い胸部にある。しかし、例えば鳥の場合、免疫を司る器官は胸腺ではなく、未発達状態の腸内にある。ヒトの免疫のこの部分は、進化の過程で不公平にも退化して譲り受けてきたのであろうか?
他の動物にとっては命取りとなる病気に対して、ある種の動物達は完全なる抵抗力を示す能力は、ヒトの小腸が示す免疫能力と関連付けられるのかもしれない。
例えば、HIVの場合は人間にだけ感染しエイズを発症する。実験を行った動物達には、その感染を退ける抵抗力が備わっていた。そのため、動物をHIV感染・エイズ発症させて検証する「動物モデル」が通用しないが故に、医師達は頭を抱えてきた。因みに、馬、猫、犬などの動物も、人間の癌に対して抵抗力を備えている。
そこで、サムは逆転の発想をした。それならば、どうしてエイズや癌のワクチン生成のために、動物の免疫反応を利用しないのだろうか、と。
ご存知のように、1929年にアレキサンダー・フレミングによって、世界初の抗生物質ペニシリンが発見されて以降、医学界は大きく変わった。抗生物質は究極の万能薬としてもてはやされると、従来採用されてきた動物の免疫能力利用は高リスクで邪道と考えられ、いつしか忘れ去られていった。
しかし、抗生物質では治癒できない、様々な難病に苦しむ人々が増え続けると、抗生物質へ依存したつけは大きなものとなっていた。
薬学が未発達の時代には、医師達は、肺炎、狂犬病、灰白髄炎(ポリオ)、天然痘や他の伝染病の治療に馬の血清を用いていた。どうして今日でも同じ理論を応用・発展させないのだろうか?
過去の治療法においては、ウィルスの突然変異という問題が見られたが、サムはそれを解消し、動物の持つ抵抗力を安全に人間に移植して完全なる治癒を実現するワクチン開発を考えたのである。
1984年、サムはメルボルン大学医学部を優等で卒業して、正真正銘の医師になった。そして、動物の免疫反応を利用するという独自のアプローチは、動物実験においても、ヒトへの臨床実験においても、注目すべき成功を収めていった。

IRT(Induced Remission Therapy = 誘導消失療法)
一方、これまでの歴史において、癌のように、通常ならば簡単に治るはずのない病気が、奇跡的に消失してしまうという、常識では考えられない現象がいくつも報告されている。チャチョーワ博士はそのような現象にも興味を持って調べてきた。突然のように病気自体が自発的に消失してしまう奇跡のような現象である。多くの科学者達は、ある病気に掛かっている際に、別の感染が起こり、それが癌細胞を破壊する能力を有していたのだと考えた。
そこで、癌組織を殺すためにウィルスやバクテリアのエージェントが使われてきた過去がある。古くはニ・三百年前に遡ると思われるが、記録のある例として、ウィリアム・コーリー博士(1862-1936)は梅毒や特定の連鎖球菌を使用して癌治療に大きな成果を上げ、1893年に開発した「コーリー毒療法」はその後60年間、癌治療の主流となった。近年ではヘンリー・ハイムリック博士(1920- )がエイズや癌患者にマラリアを与えて治癒させている。また、白血病の子供の場合、麻疹(はしか)に掛かると、そのウィルス粒子が白血病細胞の内部に見られるようになり、3週間以内で、発生した麻疹に対抗する抗体が、麻疹のウィルスとすべての癌(白血病)細胞を破壊して治癒することが報告されている。
過度に熱心な医師達は、普通の人であれば死に至らしめる天然痘、マラリア、脳炎や他の感染症のウィルスを癌患者に投与したが、彼らがその感染によって死ぬケースは意外と少なかった。その要因は、癌が発病している間に、病気に対する免疫反応を効果的に発動させる患者自身の能力にあるようであった。
そして、数年に渡る動物実験を繰り返した後、チャチョーワ博士は、癌は洗練された免疫学的メカニズムを持つことを突き止めた。癌細胞は生体をその母体内で被包し、その細胞と取り込まれたものを破壊するために抗体を発することになる。体が打ち負かす事の出来ない感染がみられれば、癌細胞はそれを被包しようとして急速に成長しようとする。しかし、感染した生体を注入すると、単純に癌が広がることはない。癌細胞は広範囲に抗菌・抗ウィルス性のエージェントを発生させることになり、その中には、HIVに対してさえ効力のあるエージェントも含まれた。
チャチョーワ博士の焦点はしぼられた。動物の免疫能力(血清)を安全に利用するアプローチと、人体に無害な感染生体を利用して、患者自身が持つ免疫能力を発動させるアプローチである。IRTは、細胞治癒を確実にするために、病原性の無い生体のみを利用し、通常の遺伝子材料を持った細胞であふれさせるというメカニズムを洗練させたものである。ウィルス自体の逆転写酵素を利用した多くのワクチンは、目標であるウィルスのDNA近辺に注射され、駆除される結果をもたらす。
簡単に説明すれば、病原性の無い生体を体内に注入すると、それが癌細胞のような目標となる細胞にくっ付き、包み込むようになる。そして、患者自身が持つ免疫能力で、危険性の無い生体を破壊すると、自然にその内部に取り込まれていた癌細胞も同時に消えてしまうというメカニズムを完成させたのである。

数々の奇跡的治癒の例
例えば、次のケースは、おそらく最も治療が困難な肝臓癌である。別の場所からの転移で、ひとたび癌が肝臓に到達すると、非常に治療が困難となる。図1は、42歳女性の肝臓のCT画像である。上に丸で囲まれた黒い点は、患者が生まれ持って有する嚢胞である。左側の大きな黒い点が癌である。この癌は、患者には無害な死んだバクテリアの抽出液を使って、ブドウ球菌がくっ付けられたものである。図2は、わずか2週間の治療で癌が消えたことを示している。

図1.治療前

図2.治療後2週間

図3は激しいウィルスの攻撃に遭い、構造的に崩壊の危機のある細胞を示している。ウィルスは細胞質を通して小さな黒い粒子として見ることができる。この細胞は流動血球計算によって分離されたものである。驚くべきことに、患者のプロテアーゼ阻害剤は検知不可能なPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を示した。この病気の進行を診断するために共通して利用される技術すら疑うことにもなるのだが、PCRレベルが20万を超える他の患者たちは、細胞内ウィルス粒子の数がより少なく、さらに効率的な免疫反応を示している。

図3. ワクチン投与前
いくつものウィルス粒子に感染したTリンパ球(T細胞)が、細胞質の中に小さな黒い円として見られる。細胞は冒されて、外側の細胞膜は不規則に破壊されている。

図4. ワクチンを投与後3日目
T細胞膜に改善が見られる。おそらくはリソゾームの形成を表す好転反応で、ウィルス粒子が減少している。

図4. ワクチン投与後6日目
細胞内のウィルス粒子の数が著しく減少している。壊れつつあるウィルス粒子の周りにさらに好転反応が現れ、細胞構造がますます安定化している。

図5. ワクチン投与後9日目
細胞核内のワクチンの影響を表す核内の凝縮組織の形成に、ウィルス物質の駆除と細胞質のウィルスの除去を伴っている。細胞構造が正常に戻っている。

IRTは、心臓病を含む多くの病気に驚くべき治癒反応をもたらしている。図7、図8は、深刻な心臓病を経験したことのある、50歳の糖尿病患者の心電図である。わずか2日間の治療で心臓の機能が高まり、R波進行において改善が現れたことを示している。患者のトリグルセリド値は、3分の1に降下している。また、コレステロール値とグルコース値も改善している。遺伝子レベルで効果を発揮するIRTには限界がなく、炎症性の病気、ぜん息、多発性硬化症、尋常性狼蒼、慢性疲労症候群、関節炎、乾癬、痴呆等にも効果がある。

図7.治療前

図8.治療後2日目

図9は、小細胞の癌腫が脳にいくつも転移している状態を示している。図10は、2ヶ月の治療で癌腫が消えていることを示している。

図9.治療前

図10.治療後2ヶ月

図11は、22歳男性の胸部CT画像である。横隔膜の片側を貫く肝臓癌が、右側の肺を包み込んでいる。図12は、6週間の治療の後のCT画像で、肺を取り囲んでいた癌が消えていることが判る。

図11.治療前

図12.治療後6週間

図13は、ボディー・ビルディングを行う32歳女性の胸部レントゲン写真で、非ホジキンリンパ腫を煩っている。中央の大きな白い塊が癌である。彼女は約1週間の治療を受け、ほぼ癌が消えていることが図14から判る。

図13.治療前

図14.治療後1週間

図15は、乳癌に掛かった65歳の女性のレントゲン写真である。図16は、治療後10日後のレントゲン写真で、正常な状態に戻っている事がわかる。

図15.治療前

図16.治療後10日目

図17で、青い点は白血病の細胞である。これが1週間の治療で図18のように消失している様子が判る。

図17.治療前

図18.治療後1週間

未曾有の1000万ドル訴訟
2000年8月11日、ロサンゼルス連邦裁判所では、被告シーダース・サイナイ・メディカル・センター(以下CSMC)は原告サム・チャチョーワ博士に対して約1000万ドルの支払いを命じる判決が言い渡された。
そもそも、そのような裁判が行われた背景として、次のような過去があった。
チャチョーワ博士が独自の治療法で前立腺癌の治癒を実現したニュースが広まると、UCLAやCSMCの一流の研究者達はチャチョーワ博士にアプローチして、癌やエイズに対して臨床実験を行いたいと申し出たのだ(のちに、南カリフォルニア大学もその実験・研究に関わっている)。
1994年秋より始められた試験においては、大きな成功を納めて、医学界より極めて好意的かつ積極的な反応を得る事ができた。CSMCのエイズ・免疫異常センターの所長E・D博士は、「データを見ると、実験に使われた多くの血清サンプルが、感染を大いに抑制していることが判る」とコメントしている。UCLA医学部の教授P・T博士は、「大規模な実験が着手され、興味深い結果を出している」と記事にしている。また、同医学部のS・M博士は「興奮すべき治療機会を与える新しい世界」と評した。
さらに、コロラド大学、ストックホルム大学等の医療機関でも、チャチョーワ博士の研究とワクチンの効果が、臨床実験を含めて十分確認されていた。そして、20世紀末までには、チャチョーワ博士は20世紀最大の発見をおさめた医学者として賞賛されるものと思っていた。
ところが、チャチョーワ博士の名声が広まると同時に、災難も彼を襲うことになった。メキシコのあるクリニックが、チャチョーワ博士の名前を利用して、ワクチンと称する偽物を販売し始めたのだ。現実には、そのクリニックは患者にただの水道水を高額で売りつけていた。しかし、数人の患者が死亡し、メキシコ政府にクレームが届くほどに事態は発展した。チャチョーワ博士はそのクリニックを訴えて、最終的にはそのクリニックは営業停止に追い込まれたが、チャチョーワ博士にとっては、大きな打撃であった。多額の訴訟費用を負担しただけではない。
それを切っ掛けに、UCLAとCSMCはチャチョーワ博士との関係を一切否定し、チャチョーワ博士の信頼性に問題があるとして、過去に行われた実験データすら否定する態度に出た。
ところが、最も悪質であったCSMCは、チャチョーワ博士の研究を盗用して、病院側が独自に発見した研究内容として、彼の理論をジャーナルに掲載すら行っていた。そして、矛盾することではあるが、CSMC側は99%以上という驚異的な治癒率を誇った臨床実験のデータ公表を拒み、チャチョーワ博士が開発したワクチンの大半を没収した。
そこで、秘匿されたデータの公表、奪われたワクチンの返還、そして名誉回復のためにも、チャチョーワ博士はCSMCを訴えるに至ったのだ。
現実には、矛盾だらけのCSMC側の対応が次々と暴露されたばかりか、チャチョーワ博士のワクチンのお蔭で奇跡的に癒された患者達が証人になり、彼の信憑性が高まることとなった。判決は明らかであった。傍聴者の中には、病院側を悪魔呼ばわりして騒ぐ人も現れた。結局、チャチョーワ博士は勝訴した訳だが、失うものの方が大きかった。
大変な時間、お金、労力を掛けて開発した、大半のワクチンが無くなってしまい、一から製造を始めねばならない状況になった。開発には少なくとも数年は要する。もっと早い時期に臨床実験のデータが公表されて、チャチョーワ博士の研究内容が普及していれば、今なお死者が多数出ている癌患者ばかりでなく、その他難病を煩った人々の命が救えたはずである。これは、チャチョーワ博士個人ばかりでなく、人類にとって甚大なる被害を与えた。そのような意味において、1000万ドルの賠償金程度で済まされる問題ではなかった。チャチョーワ博士は、いくつもの裁判を戦い続けており、今なお膨大な出費を強いられている。
参考資料: 判決

ワクチン開発は幻に終わったのか?
さらに、チャチョーワ博士に災難が襲った。CSMCは判決を不服として控訴すると、2001年9月には賠償金が1,000万ドルではなく、初期の自己負担分である11,000ドルに減額する判決が下ったのだ。それもそのはず、CSMCと共同研究を行ったUCLAの学部長と結婚した女性が裁判官を務めていたからだ。勝訴ではあったものの、これは事実上チャチョーワ博士を破産させた。ワクチン開発に必要な生体すら購入できない金額であり、もはや彼には上告する資金も体力も無くなっていた。
そして、チャチョ―ワ博士の癌研究への熱意も冷めた。というのも、医薬品業界において、癌治療こそが最大のマーケットであり、効き過ぎるワクチン開発は、最も風当たりの強い分野であったことを身に染みて体験したからだ。そのため、今後彼はアフリカやアジアで苦しむHIV・エイズ患者や心臓病患者のための研究を行っていきたいと考えるようになった。
唯一の救いは、2005年6月の時点で、チャチョーワ博士は健康を回復し、なんとか医師としての仕事も再開させていることだ。但し、ワクチンは必要に応じて個別にラボに製造を発注せねばならないために高額となり、アメリカ国内での治療行為にも制限が設けられていることから、世界中の人々が恩恵を与れるようになるには、まだ道のりは険しい。
チャチョーワ博士が体験した災難は、過去に例のないユニークな研究を支持しないアカデミズムの世界と、効果のあり過ぎる治療法を歓迎できない巨大な医薬品業界からやってきたようだ。その証拠に、チャチョーワ博士の研究を支持してきた世界各地の医療機関が、突然口を揃えたように態度を一変させ、彼を非難した。当事者同士だけでなく、直接チャチョーワ博士と関係の無い医療機関やニュース・メディアが一斉に彼を非難した。また、メキシコの移民局の役人は、何者かに金銭提供を受け、チャチョーワ博士を拘留し、脅迫すら行った(のちにその役人は投獄されている)。
どうやら世界中に監視機関が存在し、効果のあり過ぎる治療法の発見や、歴史を覆すユニークな発見が行われると、そのような研究者の信用を落す手段が瞬時に講じられ、専門の研究機関はそれに関わらないよう通達を受ける現状があるようだ。そもそも、医学的大発見のニュースは、必ず大きな医療機関の研究者達からやってくる。チャチョーワ博士のように、自らの努力で資金を得て、研究を続けてきた個人の発見が大きく報道されることはない。大きな医療機関自体が一種の監視機関に成り得ており、そのような機関に所属せずして、世界に研究成果を公表することすら困難な状況が存在するのは、まことに残念なことである。
筆者は、医薬品業界において不条理なケースをいくつも見てきたが、これは氷山の一角に過ぎない。今我々に必要なことは真実の情報が公開されることである。そして、チャチョーワ博士のように、たとえ従来の常識を逸脱したものであっても、現実に効果の現われている研究に対してはサポートを行っていく我々の姿勢も重要だ。アカデミズムの世界や産業界に存在するメンツや利害関係を超えて、人類全体への恩恵を第一に考え、有能な研究者達に十分な環境を与えることが要求されるだろう。
そもそもマラリアが存在した地域には癌という病気はなかった。ひとたびマラリアを排除するために、沼地を無くし、蚊を退治すると、癌の発生率は高まった。最終的に人間の病気治療に答えを与えるのは、自然界に存在する動植物にある。しかし、その薬を生む地球環境は今も破壊されつつある。自分の父親を癌で亡くしたばかりか、救えたはずの多くの人々を助けられず、医薬品業界から執拗な攻撃を受け、健康をも害してきたチャチョーワ博士だが、彼が残してくれたものは、人類の生存には自然環境との共生が不可欠であるという重要なメッセージであったのかもしれない。

NBCニュース(QuickTimeムービー 8.6MB)
※音声が聞きづらいが、このニュースを報じた時間帯にのみ発生した障害で、典型的な電波妨害と疑われている

※本稿は、サム・チャチョーワ博士(Dr. Sam Chachoua)の研究成果や訴訟を報じた米・豪のメディアや彼自身の言葉を参考にまとめたものだ。筆者は医師ではなく、海外での出来事を紹介したものであり、読者に治療等の助言を行うことはできない。筆者や本誌編集部に問い合わせ頂いても詳細な情報は提供できない旨、ご理解頂きたい。
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